Research 研究・プロジェクト

神経難病患者由来体細胞バンクの作成と
iPS細胞の樹立

慶應義塾大学病院を受診された神経難病患者様よりT細胞などの体細胞をご提供頂き、神経内科研究室で培養、保管します (体細胞バンクの作成)。対象疾患は筋萎縮性側索硬化症 (ALS) やパーキンソン病などの神経変性疾患、遺伝性神経難病患者、多発性硬化症などの神経免疫疾患などが対象となります。

保管した体細胞は慶應義塾大学再生医療リサーチセンター等に送り、iPS細胞を樹立します。樹立したiPS細胞は慶應義塾大学神経内科研究室で、神経細胞やグリア細胞などに分化誘導を行い、生化学的、分子生物学的解析を行います。

慶應義塾大学医学部神経内科

慶應義塾大学殿町先端研究教育連携スクエア
再生医療リサーチセンター

ドラッグスクリーニングと臨床への応用

分化誘導を行った神経細胞などに治療候補となる薬剤を投与して効果を確認し、ヒトへの応用を検討します。特に、既に臨床で使用されている薬剤については臨床試験で安全性が確認されていることから、有望な候補となります (ドラッグリポジショニング)。

当センター・副センター長/再生医療センター・センター長の岡野栄之教授は、ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者さんよりiPS細胞を作成して神経細胞へ分化誘導を行い、ドラッグスクリーニングを行ったところ、ロピニロール塩酸塩が有効であることを見出しました(Nature Medicine 2018)。2018年にはその有効性を検証する医師主導治験(ROPALS試験)が本学大学病院で開始され、当該薬剤がALSに有効であることを示しました(Cell Stem Cell 2023)。ロピニロール塩酸塩錠は既にパーキンソン病に使用されている薬剤であり、ドラッグリポジショニングの一例として、とても重要かつ有望な研究成果でした。

当センターでは、今後もiPS細胞を用いた病態研究と治療薬の開発を進めて参ります。

ROPALS試験 – iPS細胞を用いたALSに対する医師主導型治験

1年の全投与期間において、ロピニロール塩酸塩 (ROPI) はALS患者の病態進行を有意に抑制し、
呼吸不全に至るまでの期間を有意に延長した

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